研究概要 |
(1)肝細胞増殖因子による肝細胞中グルタチオンの上昇作用について 肝細胞増殖因子は肝細胞中のグルタチオンレベルを用量及び時間依存的に上昇させた。さらに,グルタチオン生合成の律即酵素であるγ-glutamylcysteine synthetase(γ-GCS)活性も上昇していた。ノーザンブロット解析の結果,γ-GCS mRNAの発現の上昇がみられた。これらの結果より,肝細胞増殖因子によるグルタチオンの上昇はγ-GCS geneの活性化によるものであることを明らかにした(J.Biochem.,126,815-820(1999))。 (2)肝再生時におけるγ-GCSの発現について 部分肝切除後の肝再生時に,肝臓中グルタチオン量及びγ-GCS活性が上昇した。ノーザンブロット解析の結果,γ-GCS mRNAの発現の上昇がみられた。これらの結果より,肝再生時におけるグルタチオンの上昇はγ-GCS geneの活性化によるものであることを明らかにした(Biol.Pharm.Bull.,22(10),1113-1115(1999))。 (3)嫌気的また好気的培養条件下でのYeast中システイン,グルタチオン量及びその関連酵素の変動 Yeastを好気的に培養した場合,嫌気的な場合に比べてcatalaseやsuperoxide dismutaseのような活性酸素に対する防御的な酵素の活性が上昇し,また,システイン及びグルタチオン量が上昇した。このシステイン量の上昇はシステイン合成酵素であるcystathionine β-synthetaseの活性化によるものであった(Biochem.Biophys.Acta,1472,587-594(1999))。
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