研究課題/領域番号 |
10680695
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
発生生物学
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
相賀 裕美子 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 室長 (50221271)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1999年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 体節形成 / 分節性 / ノックアウトマウス / 前後極性 / Notch1 / プレセニリン / Dll1 / 体節の分節化 / cre-lox / Mesp2ノックアウトマウス / 体節中胚葉 / ノックインマウス |
研究概要 |
我々は既に、Mesp2ノックアウト(KO)マウスを作製し、このマウスでは、体節の前部の特徴が失われている(後方化している)ことを明らかにしてきた。一方、古関らによって作成された、PS-1KOマウスは、分節が起こらないといった点では、Mesp2KOマウスと類似した表現形を示すが、その前後極性に関して、対照的な前方化の表現形を示す。ここで重要な事実として注目したのがDelta-1の発現パターンである。野生型におけるDelta-1の発現は、未分節中胚葉の最も尾部側で非常に強い発現を示すが、分節の直前で発現が低下するとともにその発現領域が体節の後半部分に局在しストライプパターンを示す。そしてDelta-1KOマウスは前方化の形質を示すのである。Mesp2KOマウスではDelta-1の尾芽部分の強い発現が持続し、ストライプも形成されない。すなわち、Mesp2は、Delta-1の発現を抑制するように働く。一方、PS-1KOマウスでは尾芽部分の発現は全く変わらないが、ストライプ部分での発現が完全に失われる。すなわち、PS-1は体節の後方部におけるDelta-1の発現を誘導にかかわる。すなわち、ストライプ部分におけるDelta-1の発現量及びパターンがその後の脊椎骨の前後極性とよく一致していることが分かった。しかし、Mesp2KOマウスでは、Notch1の発現が減少しており、その下流にNotchシグナル系が働くことが示唆されていたが、Notchシグナル系に直接関与すると考えられるPS-1のKOマススが全く逆の形質を示すのは驚きであり、さらに遺伝学的解析の必要性を示唆していた。そこでMeas2およびPS-1のダブルKOマウスを作成し解析した。その結果、ダブルKOマウスはMesp2と全く同様の形質を示すことが判明した。この結果は、単純なカスケードの上下関係では説明できない。そこで、この遺伝子学的相互作用がどのような、分子機構によるのかを解析するため、以前作成したMesp2遺伝子座にNotch1をノックインしたマウスを利用してさらに解析を行った。Notch1ノックインマウスは一見Mesp2KOマウスと同様の表現形を示すが、Delta-1の発現は減少していることが判明しており、少なくとも、導入したNotch1はDelta-1の発現が減少し、脊椎骨にも一部前方部の形質が現れたのである。すなわち、Delta-1の誘導にかかわるPS-1を介したNotchシグナル系を遮断する事により、さらにDelta-1の発現が低下し、その結果、細胞は、前方の性質を示すようになったと考えられた。
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