研究課題/領域番号 |
10680745
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
田中 潤也 愛媛大学, 医学部, 教授 (70217040)
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研究分担者 |
鈴木 洋司 愛媛大学, 医学部, 助手 (20226567)
前田 信治 (前田 信冶) 愛媛大学, 医学部, 教授 (50036464)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | マイクログリア / アストロサイト / 神経細胞 / アポトーシス / 細胞死抑制 |
研究概要 |
マイクログリア、アストロサイトの神経細胞保護機構の機序について以下の事項について明らかにした。 1)マイクログリアの神経細胞保護作用 我々は、一酸化窒素(NO)供与体であるニトロプルシッドナトリウム(SNP)を一次培養大脳皮質神経細胞に負荷することにより、アポトーシス様の神経細胞死を誘導できることを見い出した。この系を用いて、マイクログリアがNOにより惹起される神経細胞死にどのように関わっているのかを検討した。その結果、SNP負荷前にマイクログリアを共培養しておくと、SNPによる神経細胞死を完全に抑止できることを見い出した。また、SNP負荷後にマイクログリアの培養上清を添加しても神経細胞死を抑制できたことから、マイクログリアの培養上清はNO消去以外の方法で神経細胞保護効果を発揮すると考えられた。マイクログリアの培養上清には、神経細胞のアポトーシスを抑制する効果があり、マイクログリアの分泌する液性因子の神経細胞アポトーシス抑制効果を検索したところ、TNFαに神経細胞アポトーシス抑制効果があることが判明した。 2)アストロサイトの神経細胞死抑止効果 活性酸素を神経細胞に負荷したときのアストロサイトの反応を観察した。活性酸素類を負荷する目的で、SNP、SIN-1、または硫酸第一鉄を一過性に投与すると、神経細胞の単独培養では、20時間以内にアポトーシス様の細胞死をきたすが、アストロサイトと共培養しておくと活性酸素による神経細胞死はほぼ完全に阻止された。髄膜由来線維芽細胞にはこのような効果は認められなかった。アストロサイト由来の細胞外マトリックスは、培養上清より強力な神経細胞保護効果を示し、ラミニンとフィブロネクチンを含んでいた。精製した両蛋白質にも強い神経細胞保護効果が認められた。以上の結果は、アストロサイトが、主に細胞外マトリックス蛋白質分泌を介して神経細胞を保護することを示唆している。また、アストロサイトはアミノ酸のセリン、グリシンを細胞外に分泌することを見出した。この両アミノ酸は、神経細胞の生存を有意に促進することが判明しており、この単純なアミノ酸がアストロサイト由来の神経細胞生存促進因子であることが明らかになった。
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