研究課題/領域番号 |
10680754
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
日高 聡 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (00228735)
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研究分担者 |
山内 理充 愛知学泉女子短期大学, 生活科, 講師 (30278303)
宮地 栄一 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (90129685)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | シナプス可塑性 / 活動電位 / 電位感受性Na^+チャネル / ギャップ結合 / プロテインキナーゼ / 蛋白燐酸化 / 網膜 / パッチクランプ法 / 蛋白憐酸化 / 視覚情報伝達 / 電位感受性ナトリウムチャネル / 持続性ナトリウム電流 / チャネル不活性化 / チャネル燐酸化 / プロテインキナーゼA |
研究概要 |
脳の高次機能、特に記憶や学習における基礎過程の理解のために、視覚情報が網膜内の介在ニューロン間のシナプスを経て視覚系中枢ニューロン・網膜神経節細胞で活動電位のスパイク列にコード化される情報伝達機構を調べている。本研究では、網膜神経節細胞へのシナプス伝達の段階で視覚情報の伝達効率の改善が起き、応答特性が改善されているかどうかを検討した。特に、網膜神経節細胞からのスパイク列の発生で機能する電位感受性Na^+チャネルと網膜ニューロン間の電気シナプス・ギャップ結合チャネルに注目した。 (1)チャネル蛋白の機能構造の解析: (1) RT-PCR法を用いてWister系ラット網膜ニューロンで発現しているギャップ結合チャネル・コネキシンをコードするmRNAを解析した。PCR産物をcloningし、sequenceを実施した結果、コネキシン36を同定した。 (2) コネキシン43に対する抗体に対して網膜色素上皮細胞間のギャップ結合が免疫陽性であった。Western blot法で解析した結果、コネキシン43に対して2つの陽性バンド(43kDaと41kDa)が得られた。蛋白の燐酸化と脱燐酸化状態の解析から、網膜色素上皮細胞間のギャップ結合を構成するコネキシン43の一部は通常燐酸化を受けていて、分子量43kDaを示していることを見い出した。微小電極法による色素の細胞内注入の結果とpatch-clamp法による電位固定・電流固定実験の結果から、網膜色素上皮細胞間のギャップ結合は正常な生理条件下では細胞間チャネル・コネキシン43の燐酸化状態で開いていると考えられる。 (2) チャネル蛋白の燐酸化による電気感受性Na^+電流の調節とスパイク列の発生への影響: (1) チャネル燐酸化による電位感受性Na^+電流の調節の解析。網膜神経節細胞からpatch-clamp法を用いた電位固定法による実験で、細胞内cyclic AMP濃度の上昇を引き起してAキナーゼを活性化した所、Na^+電流の活性化の電位依存性は変化することなしにNa^+電流の減衰過程が遅くなり、一過性Na^+電流の振幅は減少したが、持続性Na^+電流は飛躍的に増大した。5HT_7セロトニン受容体を刺激した結果、Aキナーゼの活性化と同等な効果が得られた。 (2) シナプス可塑性を介した視覚情報の伝達効率の改善。5HT_7セロトニン受容体を刺激し、perforated-patch法を用いた電流固定によって網膜神経節細胞からのスパイク列の発生ヘの影響を見た所、興奮性シナプス電位に対応する活動電位の前電位が飛躍的に増大し、スパイク列の頻度はコントロールの時と比べて著しく増加した。以上のことから、網膜神経節細胞において視覚情報がスパイク列にコード化される興奮性シナプス伝達の過程では、細胞内調節による電位感受性Na^+チャネルの燐酸化が、持続性Na^+電流を増大させるというシナプス可塑性によって、視覚情報の伝達効率が改善されていると考えられる。
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