研究概要 |
本研究は多孔性チタン合金と金属材料との生体用複合材料の創製に関する研究の一つであり、人工歯根や人工関節を体内に埋め込む際,Tiインプラント材表面をTi粉末を用いて多孔質化することにより、インプラント材と骨との結合性を高めることを目的とした研究である。 チタン粉末として、プラズマ回転電極法により作製した球状の440μm,610μm及び1mmの3種類を用い,さらに600μm粒径のMg粉末と種々の割合で混錬し,5mm直径のチタン棒の周囲にこの混合粉末をセットし,爆薬のもつ衝撃エネルギーを利用して,水を圧力媒体とした円筒衝撃圧縮法により,表面部がチタンと混合粉末からなるTi生体用複合材を作製し,その後,真空中で900℃-2hの熱処理により,Mgを蒸発・飛散させ,さらに1000℃-2hの燒結を行う事によってTi多孔性表面のインプラント材を作製するものである. その結果,(1)TiとMg粉末の混合率は体積比で7:3が適当であること。 (2)インプラント材表面の最適気孔径(250μm)をうるためには、Ti粒径は610μm、1mmの範囲になければならないこと。また用いたチタン粉末の粒径が増加するにつれ,空隙率が増加し,1mm直径のチタン粉末を用いた場合,21.1%の表面空隙率をえた。 (3)この複合材のチタン棒と粉末部分とのせん断強度は150MPa,粉末部分同士のせん断強度は90MPaとなり、骨のせん断強度60MPaを上回り,総合的に十分な強度及び空隙率が得られた。
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