研究課題/領域番号 |
10710012
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
倫理学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中山 智香子 熊本大学, 文学部, 助教授 (10274680)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 両大戦間期 / ウィーン / 社会思想 / ゲーム理論 / モルゲンシュテルン / シュパン / ハイエク / K.メンガー / ウィーン学団 / D.シュパン / F・A.ハイエク / 全体性 / オーストロ・ファシズム / 自由 |
研究概要 |
本研究は、両大戦間期のウィーンにおける経済社会思想のなかで、特にゲームの理論をつくったオスカー・モルゲンシュテルンの思想的源泉となったと思われる思想を探った。とくに1920年代から経済学が「社会」そのものを分析対象とし始め、当時の現実社会における全体主義勢力の増大に対して一定の関わりをもったという点が重要である。これを考えるために、モルゲンシュテルンと知的影響関係をもっていたオトマール・シュパンとフリードリヒ・ハイエクの思想を中心に検討した。 シュパンに関しては、経済社会の分析単位として、方法的個人主義に代えて「融合」すなわち依存し合う形でのみ考えられる人間関係を置いたことが注目に値する。それは完全に組織された全体主義社会のビジョンの中核である。しかし他方でこれが、ゲーム理論における戦略的個人、すなわち合理的推論によって相手の出方を考える個人という分析単位の考案に寄与したと考えられるものである。 他方ハイエクに関しては、全体主義に抗おうとする方向性のうちに、社会における経済システムと政治システムの双方に一貫する自由主義のビジョンを20年代の論争の中から形成し、またその中で知識や情報の重要性を強く打ち出すようになったことが重要である。それはモルゲンシュテルンやゲームの理論が、個人のもつ知識を情報概念として公理体系の中に組み込み、理論体系の出発点としたことと、双方的な影響関係を持っている。 以上の二点のいずれも、理論的・歴史資料的裏付けの途上にある。今後これらをより深く追求し、特に社会学などの周辺的学問領域をより包括的に検討した上で、結論を出していきたいと考えている。
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