研究課題/領域番号 |
10710083
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高橋 涼子 金沢大学, 法学部, 助教授 (80262541)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 患者の権利 / 精神医療 / 権利擁護 / アドボカシー |
研究概要 |
1. 1999年10月からの地域福祉権利擁護事業、2000年4月からの成年後見制度施行と権利擁護制度面で矢継ぎ早に整備が進む状況下での、精神障害者の権利擁護の課題が明らかになった。東京の権利擁護センターすてっぷによれば、精神障害者に対する権利擁護活動と、知的障害者や痴呆性高齢者への権利擁護活動には、法律相談の件数、内容の傾向(金銭をめぐる相談が約7割)といった共通点、本人からの相談や法律相談の枠外の相談の多さといった相違点がある。「選択」「利用者の主体性」を主眼とする社会福祉制度のシフトが進行中だが、特に精神障害者の権利擁護に関しては、医療・福祉のサービス利用者という対等な当事者としての位置づけと対応の浸透が必須であると同時に、依然として入院時および入院中の権利擁護が課題であり、欧米のアドボカシー制度との比較検討を今後も続ける必要がある。 2. 当事者の活動として、当事者自身による相談、地域内でのグループ間の連携や身体障害など他の障害当事者グループとの関係づくりなどが広く浸透しつつあることが確認できた。国の障害者プランを受けて開始された市町村障害者生活支援事業や、その中で要件となった当事者相互によるピア・カウンセリングの理念や方法論が普及してきたことが背景の一つとして考えられる。一方、地域生活支援の施設建設をめぐる施設コンフリクトも報告されており、地域住民との合意形成と共生意識を醸成していく行政の役割が重要であると同時に、当事者運動がこうしたコンフリクトに対処しつつ地域に浸透していくあり方も模索されている。 3. 以上、研究の知見の一部を、『医療社会学を学ぶ人のために』(世界思想社、1999年)所収の論文「精神医療」および『社会学の理論』(有斐閣、印刷中)所収の論文「新しい社会運動」執筆に取り入れた。
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