研究課題/領域番号 |
10710103
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
|
研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
徳永 勇 吉備国際大学, 社会学部, 助教授 (60207553)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
|
キーワード | 地域福祉 / 福祉文化 / 社会的ネットワーク / 高齢者福祉 / 中山間地域 / 地域文化 |
研究概要 |
本年度は、昨年度までに実施した調査の結果を、2冊の報告書にとりまとめた。報告書中の主な知見は以下のとおりである。 まず、在高齢者世帯が親しく交際している相手にみる両町世帯の顕著な違いは、美都町住民の交際相手の6割近くが親族で占められているのに対し、匹見町住民の交際相手中で親族が占める割合は半数にもみたず、それを補うかのように隣人と親しく交際する度合いが高い点にある。先の交際頻度と重ね合わせれば、匹見町においては、非常に濃密な近隣交際が行われているものと考えられる。これは、交際相手の地域分布にみられた知見とも符合する。同じ過疎地域といえども、匹見町には濃厚なローカリズムが定着しているのに対し、美都町は広域性の強い、希薄な親族中心の人間関係が基調となっている。次に同居家族以外で最も頼りにしている人について尋ねたところ、交際相手よりも隣人と友人のウエイトが低下し、家族 親族とのネットワークの強さが顕著であることが判明した。さらに、介護(協力)役割の期待が、同居家族、他出家族、隣人でどう異なるかをみたところ、同居家族は、「実際の介護」、「精神的な支え」、「緊急時の援助」を、他出家族には、(「実際の介護」以外の)「精神的な支え」、「費用の援助」、「緊急時の援助」、「相談 助言」が均等に、隣人には、「緊急時の援助」、「相談 助言」が、それぞれ強く期待されていた。ここには、心理的な近接性(感覚)と地理的な近接性が及ぼす期待の相補性が強くあらわれている。両町の隣接していながらも異なった地域特性が、在高齢者世帯の他世帯との関わり方、相互扶助のあり方と役割期待、さらには高齢者の生きがい意識の点でも大きな違いとなってあらわれていることが明らかとなった。 なお、本年度は費用上の制約等から新たに調査を行うことはできなかったが、代わりに大量の文献を収集し、地域福祉文化理論の構築に向けた研究を行った。
|