研究課題/領域番号 |
10710116
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育学
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
酒井 朗 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (90211929)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
|
キーワード | 学校文化 / 中学校 / 部活動 / 適応過程 / エスノグラフィー / 生徒文化 |
研究概要 |
今年度は前年度の研究成果に基づいて、都内の公立中学校(X校)において、1年生の学校への適応過程を 観察した。対象となった学校はミドルクラスの多く住む地域に在り、校内暴力なども少なく落ちついている。調査期間は平成11年4月から翌年3月までであり、おもに学校行事や部活動における教師と生徒の・関係、ならびに1年生の上級生との関わりについて観察した。対象校の特徴をふまえ今回の観察は、不適応者がなぜ生み出されるのかではなく、現代中学生の適応はいかなる形で達成されているのかに焦点を当てた。 これまでの観察結果から浮かび上がってきた知見、仮説を暫定的ながら以下に記す。 1)ミドルクラスの出身者を多く抱えるX校では管理的な生徒指導は受容されにくい。このため、学校側は 生徒の自主性を重んじ、自由な雰囲気を維持しながら生徒をうまくコントロールする方法を採用する必要に迫られている。このなかで、とくに学校行事を通じて生徒に伝えられるのは、X校の伝統である。1年生には各種の学校行事や集会を通じて、よきX校の伝統を継承すべく期待が表明される。 2)しかし一方で、部活動や運動会などの活動への実際の生徒の参加は個人によりまちまちである。部活動は人気の高い部を除けば、必ずしもすべての生徒が参加しているわけではない。しかし、一方で中心的なメンバーは活動にきわめて熱心であり、そのことで活動が維持されている。 3)学校行事や部活動では生徒同士の交流が促されてはいるものの、学年の異なる生徒との交流は限られている。主に参観したある運動部の活動では、部員は数人の友達同士のまとまりに細かく分断されており、そのまとまりを超えた相互の交流は限られている。1年生と上級生の関わりもきわめて希薄である。こうした中で1年生の適応は、きわめて親密な相手への関わりの中で達成されていると言える。
|