研究課題/領域番号 |
10710192
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
考古学(含先史学)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
北條 芳隆 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (10243693)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 副葬品 / 石製祭具複合 / 副葬行為 / 玉 / 摩耗 / 石釧 / 管五 / 破砕副葬 |
研究概要 |
本年度の研究により、以下のことが判明した。 1 腕輪型石製品における副葬行為の類型化を試みる作業の過程において、個別の系譜をたどってみたところ、他の石製品との組合せ関係にもとづいて整理することがもっとも重要であることが判明したため、古墳時代前期における石製品全体の把握をおこなうべきとの視座をうるにいたった。各地の弥生墳墓における副葬品目と各種石製品の祖型とは高度な相関関係にあり、これら各地でみられた個別の副葬行為を単一の材質に置き換えることで統合する意図のもとに各種石製品は作出された可能性が高いのである。その結果、これら石製品全体を「石製祭具複合」と呼ぶこととし、これが古墳時代前期における副葬行為のひとつの体系を形づくっているとの問題提起をおこなうにいたった。 2 弥生時代から古墳時代までの間に各地に副葬された玉類については、端部の磨耗度や欠損度に沿って、およそ3段階程度に類型化が可能であり、各類型はおよそ副葬行為以前の使用期間を推測する尺度になりうることが判明した。弥生時代の玉については摩耗や欠損の顕著なものがめだつ一方、前期古墳の玉については、摩耗や欠損のほとんどみられないものが主流となる。この間に明らかな差違が認められ、同じ副葬行為でも、死者の生前の使用品を添えた弥生墓と、副葬用の特別あつらえの品を添えた前期古墳とでは、質的に異なるとことがわかる。この点は上記の1と密接に連動する現象として評価しうるものであろう。 以上2項目ついての整理を試み、副葬行為から復原される古墳祭祀とは、高度に儀礼化された祭式の体系であるとみるべきで、制度的な行為としての抽象化すなわち「祭りごと」としての性格が顕著に現れる可能性の高いとの結論に達しつつある。
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