研究概要 |
南西諸島の対象とする時期のタイムスケールを得るため,土器編年のための資料調査を行った。現地調査では実測,写真撮影に加え,ビデオカメラを用いて資料の有する情報を多角的に記録した。また,資料に関する文献収集,資料が出土した遺跡に関する情報の収集を行った。 具体的な作業として以下のことなどを行った。 沖縄本島,先島諸島において,土器を中心とする資料調査。先島諸島では,本土との直接的な文物交流の証拠はほとんど見られなかった。しかし,徳之島で生産されたカムィヤキや中国製の輸入陶磁器は,先島諸島にもかなりの量が流通していたことがわかった。 奄美大島の龍郷町ヒラキ山遺跡から出土した中国製輸入陶磁器の報告を行った。南西諸島には14生起頃の中国製輸入陶磁器が多く,12・13世紀頃のものは少ない。北部九州ではコンスタントに陶磁器が見られることから,古い時期はいったん本土に持ち込まれた陶磁器が南西諸島にもたらされた。新しい時期になると南西諸島の人々が直接交易に関わるようになったものと考えられる。 九州と南西諸島との間には長期にわたる文物交流が認められるが、交流が盛んな時期とそうではない時期があるようだ。しかし,いずれの場合も,交流は両地域の自発的な活動の現れであることが強く認識できた。
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