研究課題/領域番号 |
10710195
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
考古学(含先史学)
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
千田 嘉博 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助手 (70226695)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 城 / 館 / 都市 / 城下町 / 中世 / 城館 / 村落 |
研究概要 |
平成11年度は、まず北海道根室半島を中心とした18世紀に下ると考えられる最終段階のチャシを集中的に踏査し、略測図を作成した。これらはチャシの中で軍事機能をもっとも強くもった一群である。松前藩との戦いという緊張下に、生活面を犠牲にして要害性を求めたもので、主郭を核とした求心構造の萌芽などプランに注目すべき点が多い。 しかしもっとも高度なプランを実現したものでも並立的な構成を色濃く留めており、アイヌの社会構造を反映したものと位置づけることができる。これによってチャシプランを手がかりに社会構造の進化過程の復原を進めていくことが可能である。 さらにヨーロッパとの比較では、アルプス以南でインカステラメントの典型とされるイタリアの城郭都市形成について、ドイツ考古学研究所ローマ支局を訪問し、ポール ツァンカー博士の指導のもと、ロッカ サンシルベストロをはじめとした標識遺跡を踏査した。 この結果、ローマ・エトルリアなどの古典都市の継承と中世における新都市建設との関連の検討を進めることが必要であると思われた。その際には都市内部の構造の変化をどのように読みとるかが重要であり、それが中世都市への転換を考える指標となる。この点は日本の城下町研究においても等しく重要性をもつ。そして地方のインカステラメントが良くも悪しくも領主主導型の都市形成であり、同時期の自治都市とは異なった形で出現し、それが古代都市が成立しなかった地域に、中世段階の中小規模都市形成という歴史性と連関したのである。こうした特色は日本列島の城郭と城下の地域性の要因と共通するといってよいだろう。
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