研究課題/領域番号 |
10710206
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
国文学
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
菅 聡子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (70224871)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 出版メディア / 尾崎紅葉 / 樋口一葉 / 女性作家 / 明治作家 / 読者論 / メディア・出版 / 大衆小説 |
研究概要 |
本年度は、まず昨年に引き続き、尾崎紅葉を中心とする硯友社における出版メディアとの関わ りを調査・研究した。同時代の雑誌(「帝国文学」「新声」「国民之友」「太陽」「文庫」「青年文学」「少年園」「文芸倶楽部」他)に掲載された硯友社関係記事、硯友社同人ならびに紅葉門下の作家達による回想、書肆関係者による回想を幅広く調査し、紅葉が明治二十年代後半から三十年代にかけて、出版メディアとどのような関係を結び、また硯友社関係作家で成り立つ執筆者集団に対してどのようなマネージメントを行ったかを分析した。これまで見過ごされてきた、明治の出版界における執筆者集団としての硯友社の機能を明確にすることができた。この成果は、論文「<文士>の経済事情一執筆行為の聖と俗」(「日本文学」平成11・11)としてまとめた。さらに、同時期の女性作家をめぐる時代状況の分析にも着手した。表象としての肖像写真の分析を通して、同時代に女性作家のイメージが一つの商品として成立し、読者や出版メディアのなかを流通し始めたこと、それが女性作家のアイデンティティの問題にどのように関与するのか、をまず考察し、その成果の一部を論文「流通する(閨秀作家)」(「国文学」平成11・10)として発表した。さらに、ここから発展して、ことにスキャンダラスな視線にさらされた女性作家田沢稲舟について、その文体の獲得、言葉におけるジェンダー規制に関心を広げ、現在博士論文の一部として執筆中である。今後は、同時代の文体におけるジェンダーの問題へと研究を広げたいと考えている。
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