研究課題/領域番号 |
10710228
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
英語・英米文学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
金山 亮太 新潟大学, 人文学部, 助教授 (70224590)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ヴィクトリア朝演劇 / 大衆演劇 / パントマイム / イギリス演劇 / メロドラマ |
研究概要 |
2年にわたる本研究のまとめとして、2本の論文を刊行することができた。1つは本研究の全体を概観するものとして、「ヴィクトリア朝演劇研究序説」と銘打って、この2年間に得られた知見ならびに今後の課題について略述するもの、もう一つはディケンズの小説『ハード・タイムズ』に登場するある人物の言動の矛盾の原因を、この人物が子供の頃に親しんでいたと思われる大衆演劇の一種であるパントマイムの出し物の中に求め、そこからこの小説の意義を再評価しようとするものである。1999年7月に連合王国・ヨーク市で開催されたディケンズ・フェロウシップ国際大会では、主催者側の日程上の都合によりこのテーマに関する論文を読むことはできなかったが、その代わりにこの分野における権威ともいうべき数人のイギリス人研究者との知遇を得、今後の研究方向について極めて重要な示唆を得ることができた。すなわち、ヴィクトリア朝演劇の研究をするためには、台本の読み込み以上に、当時の観客層の好みを知ることが重要であること、また、近代的舞台装置が導入されることによって、役者や脚本以上に、それらの機械仕掛けをいかに駆使するかに興行収入が左右されるようになったということである。もちろん、そのようなことでヴィクトリア朝演劇が陳腐化されたばかりではなく、むしろ大衆向けに劇場が開かれてゆくことを通して、庶民の中に観劇を当たり前の娯楽として捉える層を増やすことができたことこそが、20世紀において社会主義的演劇人であるバーナード・ショウを生み出す素地になったのであり、結果的にイギリス演劇というものの裾野を拡大することに貢献したと言えるのである。今後はこのような観点から研究を進めていく予定であり、まずは劇場形態の変遷に的を絞ってみようと考えている。
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