研究課題/領域番号 |
10710255
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
言語学・音声学
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
江口 正 愛知県立大学, 外国語学部, 助教授 (20264707)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 形式名詞「ノ」 / 方言文法 / 理論言語学 / ノダ文 / ガノ交替 / 焦点 / 焦点の分布 / パラメーター |
研究概要 |
本年度は,長野県松本市方言の「ノダ文」の調査を行い、調査結果をデータベース化する一方で、これまでの調査を合わせて形式名詞「ノ」の研究のありかたを考察した。 ・松本市の方言調査においては「行くダ」「見たダ」のような「ダ」の用法に注目して分析を行った。一見終助詞に見えるこの「ダ」は分布から言うと終助詞ではなく、ノダ文のノと同様の位置に現れ、焦点化の作用などの機能の点から見てもノダ文と同様の機能を持っている。そのためこの「ダ」はノダと対応するものと考えられるが、「ダ」の存在よりもノダの「ノ」が無いことが重要で、特に接続形で「ノデ」が「デ」になることなどから「ノ」の消去と終止形の導入というプロセスを仮定するほうが合理的であることが明らかになった。 ・「『ノ』が無いこと」を調査するためには単に一つの語や文を発話してもらうだけでは十分でなく、ノダ文全体を調査することが必要になったが、このように「存在しないこと」の体系性という見方は今後の方言研究の重要な視点になる。 ・松本市方言のノダ文の分析は、述語的なノダ文に限られ、名詞節に現れるノとは異なった位置の要素の議論となった。そのため、昨年度に得られた知見と今年度の調査結果はやや違ったレベルの問題が含まれており、その点をさらに一般化することが今後の課題である。 ・研究の過程で従属節の振る舞いに関して多くの知見が得られたため、名古屋地区言語学サークル、日本語文法談話会などで発表をした。
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