研究課題/領域番号 |
10710258
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
言語学・音声学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
井上 京子 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (80276419)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1999年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 空間認知 / カテゴリー / ヒューマン・インタラクション / 言語相対説 / 指示枠 / 東西南北 / 左右 / 高知 / コミュニケーション / フィールドワーク |
研究概要 |
世界中の言語による空間のカテゴリー化には、自己中心的な「相対的指示枠」と環境主体の「絶対的指示枠」があるが、日本においてはその両方が存在しており、平成10年度のアンケート調査で「絶対的指示枠」を日常の身辺空間にまで適用している地域が多くあることが判明した。そうした用法が特に顕著に見られる地域として高知県高知市に注目し、山と海をランドマークとした生活を送っている人々の空間把握方法において、まず地形的な要因が与える影響を検証した。高知市の被験者の回答では、静的空間を見るかぎりでは「絶対的指示枠」を適用する空間領域は、地理的空間→身の回り→身体部位、と範囲を狭め、身の回りは高校生以上、身体部位にまで及んでいる例は80才以上の高齢者に限られた。しかし動的空間では、身の回りの物事に対しても「絶対的指示枠」でコミュニケーションをはかるケースが20才代間でも観察された。 そこで平成11年度はさらに調査対象年齢を小学生にまで下げ、動的空間を代表する「道案内」のコンテクストを組み込んだゲームを行い、コーパスデータを作成した。その際、対象地域の高知市内を2つの地区に分け、(1)山と平野に囲まれた地区と(2)平野と海に囲まれた地区の対比を見ることにした。結果は、高知市民の空間把握方法においては、居住地の周辺の地形的な要因が及ぼす影響力は、動的空間においては静的空間におけるものよりも大幅に減少し、それはまた被験者の年齢との相関性も見られないということである。具体的には、小学3年生でも「絶対的指示枠」を使った動的空間把握を認知・言語双方の手段として日常用いていることが、2つの地区両方で確認された。 今後の研究展望としては、ここで得られたデータを基に、オーストラリア、メキシコなどで共同研究者によって収集された動的空間の発話データを照らし合わせ、空間認知方法の普遍性/相対性の検証を行う予定である。
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