研究課題/領域番号 |
10720021
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中東 正文 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (00237372)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 利益配当 / 配当 / 手続 / 株主総会 / 取締役会 / 株式会社 / 会社法 |
研究概要 |
利益配当の手続規則については、最近とみに経済界から、その緩和が要望されるようになった。本研究では、アカデミックな観点から、そのような要望が反論に耐え得るのかを検討した。 1999年3月には渡米して、コロンビア大学とカリフォルニア大学バークレー校の各ロー・スクールの教授および助教授の計5名から研究レビューを受け、有益な示唆を受けるとともに、自己の研究の方向性に関する自信を得た。 このような過程も経ながら研究を続け、利益配当を株主総会で決定するという現行法の手続規制を緩和し、これを取締役会限りで決定させても構わない、むしろこの方が望ましいとの結論に達した。 当初の着眼点は、利益配当を株主総会で決定することになると、基準日(ないし株主名簿閉鎖時)の株主が当該株主総会で議決権を行使し配当を受け取ることになるため、基準日以降に株式の売買があった場合に、当初予想されなかった多額の配当がなされると、株式取得者は予想外の配当落ちという損害を被る恐れがあることにあった。 もっとも、株主総会で決定することとしても、例えば合併などのように将来に向かって効力を生じる決議であれば、上述の問題は相当に避けられるように思われる。そこで、最終的には、配当を将来の一時点における株主に対して行うような形で決議するように、商法を改正することが望ましいと考えた。 テーマの本筋に関しては、機動的なリファイナンスを可能とするためにも、ファイナンスとリファイナンスに関する統一的な手続規制を実現するためにも、リファイナンスの決定に関する機関の権限分配のあるべき姿からも、結論的には、利益配当の決定はこれを取締役会限りでなし得るものとすべきであるとの立方論に達した。結論そのものは、当初から描いていたものと基本的には同一であり、一段と洗練された形で商法を改正するという提言をなし得るだけの成果を得たと考える。
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