研究課題/領域番号 |
10720024
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
民事法学
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
行澤 一人 神戸大学, 法学部, 助教授 (30210587)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 全国市場制度 / 市場の分裂 / 最良執行義務 / 信認義務 / 市場間競争 / ブローカー、ディーラー / 証券会社 / 証券市場仲介者 / 信認関係 |
研究概要 |
1.単一の市場に取引を集中させる単一市場システムを放棄し、複数の市場の自由な創設を認め、市場間競争を促進することによって、市場利用者にとってより利便性の高い、効率的な市場のあり方を実現しようとしたアメリカの全国証券市場制度(NMS)は、あくまでそれら複数の市場が、電子的に統合され、どの市場を利用する者にとっても最良で公正な価格による取引が保障されること、即ち最良執行義務の保障が前提であった。 2.しかし実際には、アメリカにおいても「市場の分裂」が進行し、市場利用者に対する最良執行が十分に保障されていないことが最近指摘されはじめ、新たにすべての市場を統合した統合市場の創設が主張されてきていることが本研究を通して明らかになった。又、最近の連邦控訴裁判所レベルの判決においても、最良執行義務をより厳格に認定し、ブローカー、ディーラーに個別具体的な事情に即して、当該顧客に合理的に得させることのできる最良の価格での執行を求めたことが注目される(Newton V.MerriLL Lynch,135F.3d^<266>[1998])。これは従来ともすると、最良執行義務の中身を、技術革新の進展に応じて変化し得る抽象的なものととらえ、安易に業界 おける取引慣行と同一視してきた実務界に対する警鐘として評価できる。 3.1998年以降、アメリカと同様、市場間競争原理を導入した我が国においても、まず、証券会社の顧客に対する「信認義務」という法概念を早急に確立すべきであり、その上で具体的な裁判規範としての最良執行義務の内容及び違反の効果に対する基準を確立していくべきであるとの知見を得た。
|