研究課題/領域番号 |
10720029
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
高橋 英治 大阪市立大学, 法学部, 助教授 (40275235)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 株主有限責任の原則 / 法人格否認の法理 / コンツェルン法 / 法人論 / ドイツ法 / コンツェルン責任 |
研究概要 |
本研究は、ドイツ法と日本法を主たる素材として株主有限責任制度の根拠と限界について研究した。日本商法の原型は1884年起草のロエスレル草案に求められるが、本草案と日本側が提示した草案の研究から、株主有限責任が認められるための必要条件は、会社の資本が取引相手に対して開示され、会社資本が充実され維持されることであることが明らかとなった。 しかし同時に、かかる二つの条件が、株主有限責任の原則を認めるための十分条件とはなりえないことが、現代の日独の法研究を通じて明らかになった。すなわち、ある会社(A)が別の会社(B)の株式を取得してこれを支配しているとき、株主有限責任の原則の存在にもかかわらず、B社が負う債務につきA社に責任を負わせるべきことが明らかになった。この分野はドイツではコンツェルン法として立法化されているが、日本では未だ未発達であり、法人格否認の法理が判例法としてこれをカバーしようと試みている状況にある。 ドイツコンツェルン法との比較研究から、支配株主が支配力を濫用して従属会社に損害を負わせた場合には支配株主はかかる支配力濫用から生じた損害を賠償する責任を負うという法理が判例法上、日本において認められるべきことが明らかになった。 なお、ロエスレル草案における株主有眼責任の原則につき、「ロエスレル氏商法草案意見書について」今中利昭編・民事法の諸問題第4巻(第一法規2000年5月出版予定)、ドイツコンツェルン法につき、「ドイツコンツェルン法と日本法への展望」加藤勝郎先生柿崎栄治先生古稀記念・社団と証券の法理(商事法務研究会1999年)、法人格否認の法理につき、「法人格の否認」家近正直編・現代裁判法大系(新日本法規出版1999年)、それぞれ研究業績がある。
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