研究課題/領域番号 |
10730003
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済理論
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
古沢 泰治 横浜国立大学, 経済学部, 助教授 (80272095)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 経済統合 / WTO / GATT / APEC / 国際協調 / 紛争処理 / DSP |
研究概要 |
自由貿易地域や関税同盟といったWTOの枠組みの中で行われる経済統合は、域内国と域外国に対して異なる関税率を設定することを許している。両者に対して同じ関税率を適用するAPECの開放的経済統合はその点で大きく異なる。多角的貿易自由化は、いわゆる相互性に依拠しており、自国の輸入自由化の「見返り」として外国の輸入自由化の恩恵を得る。ところが開放的経済統合の場合、域外国に対しても輸入を自由化するにもかかわらず、域外国からは輸入自由化の便益を得ることができない。つまり、貿易自由化の相互性が満たされず、その分貿易自由化の程度は小さくなる。これが、APECの第一の特徴であり、自由貿易地域などと比べ経済厚生を低くする。 第二の特徴は、対象品目を限定できることである。GATTの例外項目として認められる自由貿易地域などの経済統合は、ほぼすべての財・サービスの貿易に関して自由化することが求められている。それに反してAPECの場合はその制約がない。例えば農業のような政治的影響力が強い産業を抱える国が経済統合に加わるときには、そのような産業を交渉の外における開放的経済統合のほうが望ましくなる。 この二つの特徴を組み込んだ理論モデルを構築し分析を進めた結果、域内国間での貿易量が大きいほど開放的経済統合がより選好されやすくなる等の結論を得た。残念ながらまだ論文の形にするにはいたっていないが、今後はこの論文を完成させるとともに、自主性を尊重しながら貿易自由化を行うというAPECの第一原則を理論的に考察していきたい。
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