研究課題/領域番号 |
10730027
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済政策(含経済事情)
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
李 春利 愛知大学, 経済学部, 助教授 (20301624)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 中国 / 自動車産業 / モータリゼーション / 排出ガス / 環境対策 / 地球温暖化 / 大気汚染 / ディーゼル車 / 中国自動車産業 / 排ガス規制 / 光化学スモッグ / NOx / 有鉛ガソリン / 中国国家環境保護局 |
研究概要 |
中国では縦割り行政による自動車産業政策と環境政策の非整合性は環境保全の根本的な問題の一つである。自動車産業の監督省庁は国家計画発表委員会機械工業局であり、環境政策は環境保護総局によって管轄されている。問題は両省庁間の提携とコミュニケーションの不足にある。機械工業局の中には排ガス汚染の対応部署がなく、「汽車処」(自動車課)だけで産業政策の実施及び日常の行政指導を行っている。従って、環境への配慮が不足しがちである。機械工業局の下には「中国汽車技術センター」があり、ここでは排ガス規制基準を制定するが、行政監督機能を持っていない。こうした政府規制の不十分さにより、自動車企業は罰金を払ってでもエンジン技術の改良を行わず、政府・企業間の「イタチごっこ」が散見される。中央省庁よりもむしろ地方自治体のほうが大気汚染の深刻さから規制を始め、例えば、北京市では1999年から三元触媒の取付けを義務化し、欧州並の排ガス規制基準を課している。その姉妹都市の東京都のディーゼル車に対する規制策を彷彿させる。通常、先進国ではCO2の約2割が自動車運輸部門より排出されているといわれる。日本では昨年、2002年からディーゼル車のNOxを30%、2007年には60%削減するという数字目標を盛り込んだ中央環境審議会の答申が発表された。米国でも70年代のマスキー法以来、排ガス規制は厳しくなり、特にカリフォルニアは先端を走っている。だが、先進国企業がいざ海外進出となると、中国を含めた発展途上国の環境法制の不備を利用して、自国の進んだ環境対策車種を持っていかず、一方、途上国も技術水準の低い自国企業を保護するために、厳しい環境規制を回避しがちである。かくして、進出側と受入側両方の都合により途上国の大気汚染が益々深刻化して、地球温暖化の進展に拍車がかかる。中国の自動車産業はその典型例といえよう。
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