研究概要 |
英国においては、我が国に比して公会計・監査分野の研究が進んでおり、特に公会計分野への発生主義会計の導入が現在の主たる関心となっている。この部分については、我が国ではその検討は端緒についたばかりであり、さらにその監査手法となるとほとんど検討が進んでいない。英国では、この発生主義を基礎とした公会計実務を前提に、監査面では新しい政策評価へと展開を見せている。 対して我が国では、政策評価システムの導入の必要性がこの1、2年認識されるようになっているが、それは専ら行政学からのアプローチであり、会計学・監査論とのつながりが絶たれているかのごとき状況にある。我が国にあっても、現行の公会計監査実務と、政策評価システムとの関連を会計学・監査論の側面から検討することの重要性が確認された。 特に、政策評価システムの導入の是非が地方自治体レベルでまず議論される傾向にあることから、我が国の地方自治体と、これに比較しうる英国ないし英連邦諸国の自治体の実務との比較が必要と思われ、この面での学会報告も行っている。("A Comparison of Japanese and Australian Second Tier Government Performance Reporting",in 7th Comparative International Governmental Accounting Research Conference,June 1999,Tilburg,Netherland) なお本年度は、研究最終年度であり、まず前年度から継続した研究成果の論文としての発表を行うと共に、本研究の総括およびその成果の執筆を行っており、後者については近く学会誌等に掲載の予定である。
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