研究課題/領域番号 |
10740004
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
代数学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
木村 健一郎 筑波大学, 数学系, 助手 (50292496)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | K群 / euler system / Griffiths群 / ハイトペアリング |
研究概要 |
今年度は、虚数乗法を持つ楕円曲線のK群の元から成るeuler systemの構成を行った。楕円曲線を使って暗号を作る時モーデル-ヴェイユ群を用いる。これはK群としては0番目のK群を使っていることになる。これを一般化し、高次のK群を暗号理論に応用することは考えるべき方向の一つである。今回はその一環として、虚数乗法をもつ楕円曲線の2番目のK群(K_2)を扱った。モーデル-2ヴェイユ群を応用するためには幾つかの群の有限性を示す必要がある。一つはセルマー群と呼ばれるもので、モーデル-ヴェイユ群のHasse原理が成り立つ為の障害の大きさを測る群である。素点毎に局所化して考える為にはこの群の有限性を示す必要がある。もうひとつはテイト-シャファレヴィッチ群で、これはセルマー群をモーデル-ヴェイユ群で割ったものである。 このセルマー群の有限性を示す為に知られている有効な方法の一つに、euler systemというガロアコホモロジーの元のシステムを構成する方法が有る。これはある代数体の拡大の系列がある時、その系列の各々の体に対してその体のガロアコホモロジーの元が対応しており、その元の系がノルム写像に関してある関係を満たすものである。euler systemは、存在すれば効果は大きいが、それを構成する一般的な手続は知られていない。筆者は虚数乗法を持つ楕円曲線のK_2にeuler systemを構成した。有理数体上のモジュラーな楕円曲線に対しては加藤和也氏がK_2のeuler systemを構成している。このsystemは虚数乗法を持つ楕円曲線に対してはテイト加群へのガロア群の作用が小さい為にそのままでは有効でなく、他の方法が必要になる。今回構成したeuler systemは、加藤氏のsystemにカバーされない場合を扱ったものである。この場合のセルマー群の有限性は、Rubinにより楕円単数を用いて示されるが、この結果はRubinのsystemがK群のeuler systemから来ることを示している。
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