有限群の表現論において、ある群の表現の様子を知るために、その適当な部分群を調べるということは有効な手法である。このとき、正標数pの体上での表現を考えるときにはシローp-部分群の正規化群を考える場合が多い。実際、シローp部分群の正規化群と元の群の表現の間にはグリーン対応やブラウアー対応などの良い対応があるためである。 二つの有限群が環として同型な群環を持つとする。このとき二つの群の表現はある意味で完全に一致する。しかしながらこのときにシロー部分群が同型になるかどうかは現在のところ分かっておらず、またその正規化群は一般には非同型になる。しかしこの非同型な群の表現は元の群の表現と良い関係があるのだから、それら自身にも良い関係があると考えられる。 このような観点から、群環の性質だけで決まるシロー部分群の正規化群の性質に注目した。特にシロー部分群の正規化群のシロー部分群による剰余群を考え、それがアーベル群になるという性質が元の群の群環だけから決まるかどうかを考察した。特に群のp-長さが1の場合、この性質と同値になるいくつかの条件を求めることが出来た。しかしこの場合に限っても群環の性質だけからシロー部分群の正規化群のシロー部分群による剰余群がアーベル群になることを示すのは今のところ出来ていない。
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