研究概要 |
1.当該研究の目的は、射影平面のGalois被覆のコホモロジー表現を調べることであるが、今年度は昨年度に引き続いてHilbert modular多様体に関してコホモロジー表現を調べた。 Kをn次総実代数体とし、nをKの整数環_<OK>のイデアルとする。X(n)をlevel nのHilbert modular多様体とするとき、X(n)はX(_<OK>)のGalois被覆で、SL_2(_<OK>/n)をGalois群として持つ。このGalois群はH^0(X(n),Ω^n)に作用しているが、私はこの作用に付随する表現を調べた。昨年度は、n=2の場合を考察し、Meyer-Szechの公式と斎藤裕氏の公式の一般化を与えた。今年度は一般のnの場合を考察し、昨年度に得られた結果を一般化した。さらに、Eichlerの公式とHeckeの公式の一般化も証明することができた。 2.levelのついたquaternion modular threefoldsを考察し、levelが十分大きいとき、その多様体の上に有理曲線や楕円曲線が存在しないことが判明した。来年度以降もこの多様体を研究していく予定である。
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