研究概要 |
本研究では,次の線形トレンドモデル Y_t=β_0+β_1x_t+X_t, t=1,2,・・・ に関して,未知のパラメータβ_0,β_1の頑健推測について調べ,次の結果を得た. (1)誤差項{X_t}がiidで対称なα-安定分布S_α(σ,0,0)(0【less than or equal】α【less than or equal】 2)を持つ場合,(β_0,β_1)の最小2乗推定量(β^^<^>_0,β^^<^>_1)は次の漸近挙動を持つことが示された. n^<1-1/α>(β^^<^>_0-β_0)〜S_α(C_<n1>σ,0,0), n^<2-1/α>(β^^<^>_1-β_1)〜S_α(C_<n2>σ,0,0), ここに,C_<n1>,C_<n2>はnとαに依存する正の定数である. (2)誤差項{X_t}がiidで,周辺分布関数F(x)がF(0)=1/2を満たし,0の近傍で連続な密度関数を持つ場合,(β_0,β_1)の最小偏差推定量(LAD)(β^^〜_0,β^^〜_1)は次の漸近挙動を持つことが示された. n^<1/2>(β^^〜_0-β_0)⇒(2W_0-3W_1)/(f(0)), n^<3/2>(β^^〜_1-β_1)⇒(3(2W_1-W_0))/(f(0)) ただし,W_0,W_1)は平均0,共分散行列【numerical formula】を持つ2次元正規分布に従う.f(x)はX_tの密度関数である.この結果により,最小2乗推定量と比べ,最小偏差推定量が誤差分布に関して頑健であることが分かった. (3)以上の(1),(2)で述べた結果は,誤差項{X_t}がweakly dependentな時系列の場合にも成り立つことが示された. (4)一般的な線形回帰モデルの頑健推測に関して具体的な結果はまだ得られていないが,しかし,本研究により,そのための準備ができた.これをこれからの研究課題にしたい.
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