面の経路積分の時間分割近似による定式化を考案し、2次程度のポテンシャルの条件下では実際に面の時間分割近似法が広義一様収束することを示し定式化した。: 通常の経路積分に対する時間分割近似が広義一様収束することを示す場合、(1)『汎関数の設定』、多重振動積分が(定数)の(次元)乗でコントロールできるという(2)『H.Kumano-go-Taniguchiの定理』、大次元空間の停留位相法を証明するための(3)『Fujiwaraのskip法』が重要であった。研究当初は、面に対する汎関数の設定さえうまくやれば、面の経路積分に対する時間分割近似に対しても(2)や(3)に似た定理が成り立ち、面の経路積分に対する時間分割近似の広義一様収束が示せると考えていた。ところが、(2)が成り立つように面に対する汎関数の設定はできたが、(3)は面の性質上、現在のテクニックでは本質的に成り立たないことがわかった。それでとりあえず、(3)が必要無い2次程度のポテンシャルの条件下で、面の経路積分に対する時間分割近似が広義一様収束することを示し、面の経路積分を定式化した。さらに、いつか(3)以外の方法で面の時間分割近似の停留位相法が証明できたときのために、通常の経路積分と同じポテンシャルの条件下で、面の経路積分の時間分割近似の停留位相法による主部が広義一様収束することを示した。詳しく言えば、主部の相関数部分は2次のオーダーで一様収束し、Morette-Van Vleck行列式に対応する部分については1次のオーダーで一様収束することを示した。 これ以後は、(3)以外の方法で大次元空間の停留位相法を証明し、通常の経路積分のポテンシャルと同じ条件下で定式化したい。また、面の経路積分とブラウン運動との関係についても調べるつもりである。
|