非線形分散型方程式は、物理数学のさまざまな分野に現れる重要な方程式であり、非線形Schrodinger方程式は、その一つである。この方程式の定在波解は、対応する非線形定常問題の固有状態に対応しているが、非線形項に時間変数がパラメータとして入っている場合、この固有状態は時刻によって変化していく。そこで初期状態において、その時刻における定常問題の固有状態に解がなっていたとき、時間が十分たった時に系がどのように変化するかを考える。この問題を、時刻変数をスケーリングして考えるのが、「断熱近似」である。 本研究では、2年間で、ある程度広いクラスの非線形項に対して、時刻無限大まで解が存在することを示し、方程式の固有状態の性質について解析した。 また、98年度には、それらの問題について、チェコのブルノでのシンポジウムに出席し、Short talkを行なった。99年度には、中国からの客員教授Mico Chargzing氏と共同でやや異ったタイプの主部をもつ分散型方程式について研究した。
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