研究概要 |
相対論的Schrodinger作用素Hは、√<(ξ-b(x))^2+m^2>+V(x)をシンボルとするWeyl型擬微分作用素のL^2(R^3)上の自己共役実現として定義される。スカラーポテンシャルV(x)は遠方で減衰するとし、ξ,x∈R^3,m>0とする。ベクトルポテンシャルb(x)∈C^∞(R^3)^3は一様部b_c(x)と摂動部b_p(x)に分解しておく。この作用素は、2つのパラメータmとB=|∇×b_c(x)|を含むものである。 現時点の結果の概略は以下の2点である。 1) 真性スペクトル(essential spectrum)の下限の位置に関する結果 Hの真性スペクトルの下限は、Dirac作用素とKlein-Gordon作用素の場合の中間に位置する。また、真性スペクトルには途切れ(gap)はない。 2) マグネティックボトル(magnetic bottle)の存在に関する結果 スカラーポテンシャルの影響がない(V(x)=0)ときでも磁場の影響で束縛状態が存在する場合がある。 また、今後の研究の方向性をいくつか挙げておくと、次のようになる: (i)スカラーポテンシャルを含めた考察 (ii)結果の一般化および仮定の削除 (iii)多体の場合への拡張 (iv)スペクトルの漸近分布
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