研究概要 |
Gauss-青本-Gelfandの超幾何微分方程式をさらに高階に一般化した微分方程式が特異な無限次元表現の実現において自然に現れる。前年度までの研究により,積分変換の一種であるペンローズ変換によって高階に拡張された超幾何微分方程式の大域解を全て構成した(変換群が不定値ユニタリ群,領域が AIII 型の有界対称領域の場合)。 当該期間中に上記の高階の微分方程式系に対して,以下に述べる 1,2の研究を行った。 1.高階の超幾何微分方程式に一階の微分方程式系を加えたときの大域解の空間の有限次元性(特に局所解が無限次元である場合) 2.3階の小行列式型の偏微分方程式の解空間の次元公式の組み合わせ論的表示(特に,解の次元のスペクトルパラメータに関する漸近挙動も調べた。) このために, 1.古典型有界対称領域上に小行列式型の高階の偏微分方程式系を定義し,全ての大域解を幾何的に構成した:構成はペンローズによるtwistor理論を,高次元の非コンパクトな複素多様体上のDolbeaultコホモロジーに一般化することで行った。 2.ユニタリ表現論による二つの次元公式を主要な道具として用いた。 (1)離散分岐理論における有限次元性定理 (2)コンパクト群の有限次元表現に関するClebsch-Gordanの公式 これらの結果は論文"Combinatorial formula of the dimension of global solutions to a generalized hypergeometric system M^^〜_<3,2>(ν)"(Tokyo Journal of Mathematicsに掲載予定)にまとめた.また,ペンローズ変換についての当該研究者のこれまでの結果の概要を日本数学会の函数解析分科会特別講演で講演し,"ある古典型有界対称領域上の偏微分方程式系-ペンローズ変換による大域解の構成と無限次元表現"(1998年度日本数学会年会函数解析分科会特別講演pp.30-39)にまとめた.
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