研究概要 |
本研究では、相似変換に関して不変な非線形放物型偏微分方程式に対して、その特性および特殊性がどのように解の振る舞いに反映されるか、という観点から考察を行った。とくに、非線形偏微分方程式∂_tu(x,t)=Δu(t,x)+f(u(t,x))において、f(u)=u^pの場合を重点的に考察を行い、以下の成果を得た。 1.この方程式の自己相似解は指数的に急速に減衰する解と多項式オーダーで緩やかに減衰する解が存在することが知られている。ここでは、この指数的に減衰する解は、原点を中心とした球対称性を必ず持つことを示すことができた。 2.この方程式は自己相似解に対して変分構造を持ち、1で述べた指数的に減衰する解は、ある汎関数の極小値を与える関数に対応することが知られている。この指数的に減衰する解は、変分法で得られる弱解のクラスにおいても唯一つに限ることを示すことができた。 3.この方程式に対してパラメーターを伴うCauchy問題を考えた。パラメーターの値に伴い、時間大域的な解と有限時刻でblow-upする解が現れる状況において、パラメーターを連続的に変化させたとき、解が時間大域的であるところとblow-upするところの境界において、その解が自己相似的な挙動をすることを示した。 4.この方程式に対して、初期関数に特異性を持つCauchy問題を考え、適当な条件のもとで最小解を持つことを示した。それにより1で述べた多項式オーダーで減衰する解は、対称性を持たないことがあり得ることを示した。
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