研究概要 |
一般相対論における時空概念は、計量場がのったリーマン多様体である。この古典的時空概念は古典力学と合致するが、量子論を考慮に入れると、不自然なものである。量子力学と一般相対論を元にした時空の位置を測定する思考実験を考えることにより、時空概念を再考察し、時空の不確定性関係を導いた。この不確定性関係により、古典的時空概念がどのように変更され、量子論的な時空の自由度がどのように存在するのかを定性的に推察することが出来る。この推察に基づいて、量子重力が関係すると思われる現象について定性的な評価をいくつか行ってみた。具体的には、普遍的最大エントロピー、ブラックホールの寿命、宇宙項などの評価を行った。定性的評価ではあるが、結果はこれまで知られていた事実と合致するものであった。従って、この不確定性関係は定性的チェックをパスするものである。更に、この不確定性関係を注意深く調べると、ローレンツ不変性を導入するのが自然であることが分かり、そのローレンツ不変な定式化を行った。次に、その代数的表現を議論した。時空三次元の場合は、SO(2,1)のリー代数による表現が可能であり、その時空の不確定性関係を実現しているような非可換時空をあらわに構成した。四次元時空の場合には、座標作用子の間のヤコビ恒等式が破れていることを示すことが出来る。そのため、結合的でない代数を使う必要がある。座標作用子の部分については、オクタニオン代数を使うことにより表現できることが分かった。
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