研究概要 |
素粒子の標準模型における小林益川行列の|V_<td>|,|V_<ts>|の決定のためB中間子の混合と崩壊に関するハドロンの遷移振幅をQCDから予言する必要がある。私は格子QCDを用いて、B_<d(s)>-B_<d(s)>混合に関する遷移振幅に現れるバグパラメータB_<B_<d(s)>>と崩壊定数f_<B_<d(s)>>の計算を行った。現在の計算機の性能では格子間隔に比べ重すぎるためbクォークについてNRQCD作用を用いた計算を行った。論文1でB_<d(s)>-B_<d(s)>混合に必要な4体フェルミ演算子のマッチング係数をStatic近似でO(aα)まで計算した。論文2でクェンチ近似でのシミュレーションを行い、論文1の操り込み係数をもとにバグパラーメータの計算を行い、(B_<Bd>)^<MS>(5GeV)=0.75±0.03±0.12,B_<B_s>/B_<B_d>=1.01±0.01±0.03.を得た。論文3でクェンチ近似でのシミュレーションを行い、f_<B_<d(s)>>の計算を行いf_B=170±5±15,f_<B_s>/f_<B_d>=1.12±0.02±0.01±0.03.を得た。本研究によりクェンチ近似での遷移振幅をf_Bについては10%B_Bについては20%の精度で求めることができ小林益川行列要素の制限を大きく改善することができた。今後、1、マッチング係数の高次補正の計算、2、fullQCDのsimulation、を行って、小林益川行列要素を10%以下の精度で評価することが目標である。
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