研究課題/領域番号 |
10740158
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
木村 憲彰 東北大学, 極低温科学センター, 助手 (30292311)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 強相関伝導系 / 重い電子系 / フェルミ面 / ドハースファンアルフェン効果 / 横磁気抵抗 / UPt_3 / メタ磁性 / 異方的超伝導 / 極低温 / ドハース・ファンアルフェン効果 / 磁気抵抗 / ウラン化合物 |
研究概要 |
本研究の第1の目的は強相関伝導性ウラン化合物のフェルミ面を明らかにすることであった。特に、重い電子状態を示し、異方的超伝導、メタ磁性を示すUPt_3などの典型物質について詳しく研究することによって、より深い理解を得ることを目標とした。 本補助金によって開発を行った、極低温磁気抵抗装置により、0.04Kでの横磁気抵抗の測定が可能となり、UPt_3のフェルミ面のトポロジカルな性質が明らかとなった。また、ドハース・ファンアルフェン(dHvA)効果の実験からは、全角度領域でdHvA信号を検出することに成功し、いままで確定的でなかった主要フェルミ面が完全に明らかとなった。本研究で示された結果は、光電子分光の結果とも一致し、以上の実験結果とバンド計算との比較により、UPt_3の5f電子は遍歴電子としてフェルミ面を形成していることが明らかとなった。すなわち、重い電子状態を形成する基底状態は、Ce化合物と同様に理解することができることを示唆する結果となった。 さらに、本研究では当初の目的を一歩進め、UPt_3のメタ磁性近傍におけるフェルミ面の変化について詳細な研究を行った。その結果、フェルミ面の極値断面積に比例するdHvA周波数とサイクロトロン有効質量がメタ磁性転移磁場近傍で急激に変化することを明らかにした。この結果は、解析が極めて困難であるため、いまだ十分な知見が得られたとは言いがたいが、強相関伝導系の特徴的な減少であることから、今後の発展的な研究が望まれる。 以上の研究は、1999年8月に開催された、Strongly Correlated Electron Systems国際会議において招待講演で発表され、世界的にも高い評価を得た。
|