研究概要 |
低温・高磁場・高圧といったいわゆる多重極限環境下における比熱・帯磁率等の測定は,スピンラダー系超伝導物質を含めた強相関伝導電子系物質に対して重要な情報が得られると期待される.本年度は,圧力下比熱測定を可能とする^3Heクライオスタット,及び,比熱測定用圧力セルの立ち上げを行った.比熱測定用圧力セルに用いる圧力媒体の条件として,試料との化学的活性が無いこと,熱伝導性が良いこと,また圧力媒体の比熱の圧力依存性が小さいことが重要である.今回作成した装置には圧力媒体として,Apiezon-Jオイルを用いた.これにより,圧力範囲0kbar<P<4kbar,温度範囲0.5K<T<20Kでの比熱測定が可能となった.今後は更に高圧測定用として,圧力媒体に塩化銀を用いた装置(圧力範囲0kbar<P<10kbar)の開発,また本研究室既存の希釈冷凍機と組み合わせた低温高圧高磁場下比熱帯磁率測定を目指して行く. 昨年作成した圧力範囲0<P<0.7GPa,温度範囲2K<T<100Kにおいて帯磁率測定が可能な圧力下帯磁率測定用セルも順調に稼動しており,興味ある結果も出つつある.
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