研究課題/領域番号 |
10740180
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
中西 剛司 日本大学, 文理学部, 助手 (70297761)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 一軸圧力 / 輸送現象 / 超伝導 / スピン・ラダー / 装置開発 / 超伝導体 |
研究概要 |
スピン・ラダー物質Sr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41>における圧力下での物性測定はこれまですべて静水圧力下でのみ行われてきており、未だ一軸圧力下での物性測定は全く行われていない。この物質の構造は極めて異方的であり、一軸圧縮の物性におよぼす効果は非常に大きいことが期待される。静水圧力下での電気抵抗の異方性の実験からは、超伝導は系が1次元から2次元に向かうときに起こることがわかってきた。これはラダー間の相互作用を大きくすることに対応するので結晶のa軸圧縮に対応している。したがって、本研究において予想される結果は、結晶のa軸に対して一軸圧力を加えたときのの電気抵抗の大きな減少であり、さらには超伝導の発現も期待される。今のところ超伝導は静水圧力下でのみしか発現しておらず、一軸圧力下で超伝導が見いだされれば、この系の超伝導が1次元から2次元のクロスオーバーで起こることの決定的な証拠となる。現在までに、油圧を利用したミニシリンダで定荷重の一軸圧力下で電気抵抗と交流帯磁率を同時に測定できるシステムを開発することに成功した。さらに、この装置は、20T超伝導マグネットにインサート可能なように開発したので、一軸圧力下での電気抵抗および交流帯磁率の測定を最低温度1.5Kまでかつ磁場下20Tで行うことが可能になった。まず、予備的な実験として、x=12の単結晶試料について、結晶の圧縮率がもっとも大きいb軸に一軸圧力をかけた状態で、電気抵抗測定を行った。その結果、室温の電気抵抗は一軸圧力1kbarで数%しか減少しないのに関わらず、ヘリウム温度付近の低温の電気抵抗が約20%近くも減少するということを見いだした。これは、一軸圧力をb軸に加えた場合に、低温でのキャリアーの局在がかなり抑制されていることを意味している。今後、問題となっているa軸に一軸圧力をかけた場合の実験を行い、同じように低温でのキャリアーが抑制されるのか、また一軸圧力下で超伝導が発現するのかどうか、を見極めたい。
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