研究課題/領域番号 |
10740183
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
|
研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
山口 智弘 理化学研究所, 磁性研究室, 基礎科学特別研究員 (80300903)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | スピン密度波 / 磁性不純物 / 密度波のダイナミクス / 磁化過程 / 磁気抵抗 / ヒステリシス / 非線形伝導 / 電子スピン共鳴 / 比熱 |
研究概要 |
平成11年度は磁性不純物を含むスピン密度波系(TMTSF)_2(AsF_6)_<1-X>(FeC1_4)_Xに対して磁化曲線の異常な振舞の原因について考察するとともに、輸送現象の測定を行った。 この物質中の鉄スピンによる磁化曲線は低磁場から非線型になり、高磁場で飽和する傾向を示すことを昨年報告した。この現象に対し、不純物スピンとSDWとの間の相互作用の強さが外部磁場に依存して増大すると仮定するとうまく実験結果を再現できることを発見した。また同様な考えでCrFe系の磁化曲線の振舞も説明できることがわかった。相互作用の磁場依存性は、理論的に予測されている磁性不純物によるピン止めポテンシャルの磁場依存性に起因すると推測される。 輸送現象測定では伝導鎖に垂直な磁場中での磁気抵抗および非線形伝導の測定を行った。この結果次のことが明らかになった。室温での伝導鎖方向の抵抗率、室温とSDW転移温度直上との抵抗の比はともに純粋な試料と大きな違いはない。SDW相内で線形伝導度は熱活性化型の温度依存性を示すが、その活性化エネルギーは純粋な試料の1/2であり、SDWギャップ中に不純物準位が存在することを示唆する。磁気抵抗は純粋な試料と比較すると3T〜6T付近のプラトー構造が明確でなく、また大きさも小さい。この磁気抵抗には磁場上昇時と磁場下降時でヒステリシスが観測されることが明らかになった。このヒステリシスの原因は、ピン止めポテンシャル、ピン止め周期の磁場依存性によりSDWのピン止め状態の準安定構造が変化したためであると考えられられる。また電流-電圧特性には、純粋な試料同様しきい電場を伴った非線形伝導が現れることがわかった。しきい軍場は2K〜6Kの温度領域で約20mV/cm程度であり、明確な磁場依存性は観測さない。
|