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非平衡緩和法によるランダムスピン系の計算物理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 10740186
研究種目

奨励研究(A)

配分区分補助金
研究分野 物性一般(含基礎論)
研究機関東京大学

研究代表者

伊藤 伸泰  東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70211745)

研究期間 (年度) 1998 – 1999
研究課題ステータス 完了 (1999年度)
配分額 *注記
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
キーワード非平衡緩和法 / 相転移 / 臨界現象 / スピングラス / ランダム系 / ユニバーサリティ / 弱い普遍性 / 加齢現象 / 臨界指数
研究概要

稀釈合金系の磁性のモデルとして研究が始まったスピングラスモデルは、競合する相互作用を原因として複雑で興味深い振舞いを示すさまざまな系の研究の際にも重要なモデルとなっている。その重要性は今日、物性物理に留まらず、最適化問題、神経網、蛋白質ほかの分野でも認識されている。
このようなスピングラス系に対して、相転移の研究に際して有効な場合が多いことが本研究代表者により明らかとなった「非平衡緩和法」を応用し、解明することが本研究の目的である。2年間に渡る研究の結果、次のような成果が得られた:
正方格子および立方格子上のスピングラスモデルについて、常磁性強磁性相転移を精密に調べた。その結果、相境界がこれまで以上の精度で解明された。強磁性相互作用の濃度を変化させると、磁化や相関長などの静的な物理量の指数や動的指数は普遍的ではないことが明らかとなった。さらに静的な指数に対しては弱い普遍性が成り立つ一方、動的指数では弱い普遍性は成り立たないことが明らかとなった。この静的指数の弱い普遍性はスピングラス相との3重臨界点では、破れていることも明らかとなった。
立方格子上のスピングラスモデルのスピングラス転移、スピングラス相でのクローン相関関数の非平衡緩和の様子が明らかとなり、グラス転移に対する非平衡緩和法による研究手法が確立した。現在、この手法によるゲージグラスモデルの研究も進められている。
強磁性相の近くでは、スピングラス相中に強磁性秩序状態をもつ熱力学的状態が存在することが明らかとなった。このような状態は、ランダムな相互作用分布に対して測度0で存在すると解釈されるが、このような相を捉えることができたのは、非平衡緩和法ならではの発見である。このことから、3次元スピングラス相がこれまでに考えられていた以上に複雑な多重谷構造を持つことが示唆される。

報告書

(2件)
  • 1999 実績報告書
  • 1998 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 伊藤伸泰 他: "熱平衡を非平衡から調べる-非平衡緩和法"日本物理学会誌. 54巻5号. 336-347 (1999)

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書
  • [文献書誌] N.Ito, Y.Ozeki: "Non-equilibrium Relaxation Method and its Applications"Interm. J. Mod. Phys. C. (掲載予定).

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書
  • [文献書誌] Y.Ozeki, N.Ito: "Non-equilibrium Relaxation of Fluctuations to critical Phenomena and its Application"Suppl. J. Phys. Soc. Jpn.. (掲載予定).

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書
  • [文献書誌] N.Ito 他: "Non-equilibrium Relaxation of Fluctuation"Prog. Theor. Phys.. (掲載予定).

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書
  • [文献書誌] N.Ito,Y.Ozeki: "Simulational Study on Phase Transition using Dynamical Behavior"Proc.of Comp.Simulation Studies in Cond.Mater.Phys.. 13巻(予定).

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書
  • [文献書誌] N.Ito,Y.Ozeki,H.Kitatani: "Non-Universal Critical Behavior in the Ferromagnetic Transition of the ±JI sing Model" J.Phys.Soc.Jpn.68巻3号. 4547-4554 (1999)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書
  • [文献書誌] 伊藤伸泰,尾関之康,野々村禎彦: "熱平衡を非平衡から調べる-非平衡緩和法" 日本物理学会誌. 54巻5号(予定). (1999)

    • 関連する報告書
      1998 実績報告書

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公開日: 1998-04-01   更新日: 2016-04-21  

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