研究課題/領域番号 |
10740187
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長尾 道弘 東京大学, 物性研究所, 助手 (90301150)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | conplex fluids / microemulsion / neutron scattering / phase transition / high pressure / slow dynamics / complex fluids / high-pressure |
研究概要 |
体積分率が約20%の陰イオン性界面活性剤AOT(dioctyl sulfosuccinate sodium salt)と40%の水および油からなる三元系は室温付近でマイクロエマルジョンと呼ばれる均一な液体となり、その構造は密なwater-in-oil droplet構造として知られている。我々のこれまでの研究により、圧力上昇によって密なdroplet構造は、lamellar構造とbicontinuous構造の2相構造へ相転移することが明らかになっていた。本研究ではこの相転移を温度誘起転移と比較することにより、マイクロエマルジョン系に及ぼす温度と圧力の効果を主に中性子小角散乱により調べた。 温度上昇によって構造はdense water-in-oil droplet→lamellar+bicontinuous→oil-in-water dropletと変化する。これは、温度上昇に伴うcounter ionの増加による界面活性剤膜の自発曲率の変化として捉えることができ、従来の考え方で説明が可能である。一方、圧力上昇によってはdense water-in-oil droplet→lamellar+bicontinuousという構造変化を示す。中性子小角散乱から得られた水ドメインの繰り返し周期の温度、圧力依存性は転移のクロスオーバー温度(高温のlamellar+bicontinuous構造からoil-in-water構造への転移の開始温度) 、転移終了圧力を用いて規格化することにより、低温、低圧領域では同様な振る舞いを示し、高温、高圧領域では異なった振る舞いを示した。また、lamellar構造の繰り返し周期は、高温lamellarでは仕込みの界面活性剤量や温度に依存するが、高圧lamellarでは仕込みの界面活性剤量や圧力に依存しない一定値をとることが明らかになった。これらの結果は、温度上昇と圧力上昇での相転移のメカニズムの違いを反映していると考えることが出来る。圧力上昇ではcounter ionの増加による膜の自発曲率の変化よりも界面活性剤のアルキル鎖と油分子の相互作用変化による自発曲率の変化が相転移を引き起こす要因になっていると考えられる。
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