研究課題/領域番号 |
10740189
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 量一 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10263401)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 高分子メルト / レオロジー / 線形応答 / 非線型応答 / ガラス転移 / 過冷却液体 / 分子動力学 / 動的不均一性 / 拡散係数 / Stokes-Einstein則 / 臨界現象 |
研究概要 |
工学的応用の重要性から、高分子液体のレオロジーに関してはこれまで既に膨大な量の研究がなされており、特に単純分子にはない高分子特有の間の絡み合い効果の理解が最近の高分子物理学の発展につながった。一方で過冷却・ガラス状高分子のレオロジーはたとえ絡み合いがない場合でも粘弾性の効果と変形にたいする非線形効果が著しいが、基本的な現象の整理すらほとんどされておらず、微視的レベルでのメカニズムの理解が必要とされている。さらにより複雑な非線形・非平衡領域のダイナミクスに関しては理論的理解が明らかに不足しており、計算機シミュレーションによる微視的物理過程への洞察が重要である。 我々はGrestとKremerらによるバネビーズモデルを用いて大規模な分子動力学シミュレーションを行い、短い鎖状分子からなる過冷却液体のレオロジーを調べた。同様なモデルのシミュレーションでは、過冷却状態においてこれまで5×10^4τ(【similar or equal】τ_R:鎖の最長緩和時間)程度の計算が最長であったのを、今回我々は5×10^6τ(【similar or equal】τ10^2_Rと約100倍の計算を実行した。その結果、線形領域ではストレス緩和関数G(t)が比較的短い時間においてモノマー間の斥力相互作用の存在によってstretched exponential的に振る舞い、長時間でようやく鎖のエントロピーが支配的になりRouse関数に漸近することがわかった。せん断変形に対する過冷却液体の過渡的応答が理論的挙動と大きく異なるのは前者の存在による。さらに非線型領域での応答について調べたところ、鎖の緩和時間が著しく大きくなる過冷却・ガラス状態では、非常に弱いせん断速度に対しても高分子鎖の変形が容易に大きくなり、これがレオロジーに強烈な非線形挙動を引き起こすことを予見した。
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