研究課題/領域番号 |
10740199
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
藤原 進 核融合科学研究所, 理論・シミュレーション研究センター, 助手 (30280598)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 分子動力学シミュレーション / 高分子鎖 / 構造形成 / 配向秩序 / 分子運動性 / トランス・セグメント |
研究概要 |
高分子の構造形成機構を分子レベルで解明するため、我々は短い鎖状分子および長い高分子鎖の分子動力学シミュレーションを行い、配向秩序構造の形成過程を解析した。高分子鎖のモデルとして、最も単純な内部構造を持つポリメチレン鎖を用い、メチレン基(CH_2)は、一つの質点として扱った。分子力場として、DREIDINGポテンシャルを使った。シミュレーション手法として、速度Verletアルゴリズムを用い、系の温度を一定に保つため、Nose-Hoover法を使った。先ず高温においてランダムな配位を作り、次にそれを様々な温度に冷却した。1本当り20個のメチレン基からなる100本の短い鎖状分子について、シミュレーションで得られたデータを可視化し、さらに、配向秩序パラメタの時間変化、および配向秩序構造内における分子の運動性を調べることにより、以下の結果を得た。 1)高温(700K)でランダム状態にある高分子鎖を冷却することにより、配向秩序構造が形成される。2)配向秩序は、段階的に成長する。3)400Kにおいて、高分子鎖は六方相を形成しているが、温度の低下と共に、六方相から斜方相へ転移する。4)六方相の場合、鎖状分子は鎖軸方向に移動しやすい。 短い鎖状分子の場合、配向秩序構造内の分子は、伸びた状態にあるので、解析は比較的容易であった。それに対して、長い高分子鎖の場合、配向秩序構造内の分子は、折り畳まれているため、秩序形成の解析は困難である。我々は、連続したトランス・ボンドで定義された「トランス・セグメント」に着目し、500個のメチレン基からなる1本の長い高分子鎖における配向秩序の形成過程を解析した。その結果、配向秩序が成長する際、トランス・セグメントが鎖に沿って移動することが明らかになった。 今後は、多数本の長い高分子鎖のシミュレーション結果について、「トランス・セグメント」に基づいた解析を行う予定である。
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