研究課題/領域番号 |
10740300
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石井 和之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20282022)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 励起多重項状態 / ポルフィリン / フタロシアニン / 時間分解ESR / ニトロキシドラジカル |
研究概要 |
ニトロキシドラジカル(NR)が結合したポルフィリン(Por)、フタロシアニン(Pc)色素系は、光による磁気的性質の制御と関連して興味深い化合物である。その磁性制御には、励起三重項(T_1)色素と基底二重項(D_0)NRから構成される励起多重項の形成が必要である。昨年度は、ZnPcにNRを配位結合させた錯体について、時間分解ESR(TRESR)を用いて研究し、励起多重項形成条件を調べた。本年度は、過渡吸収、りん光から励起多重項状態の寿命を測定し、TRESRと対応させることで以下のことが明らかとなった。 (1)りん光寿命 Por-NR間の距離が異なる幾つかのNR配位型亜鉛オクタエチルポルフィリンについて、りん光寿命、TRESR測定を行った。Pcと同様に、距離が10Å以上ではT_1PorのTRESRを示し、8Å以下ではT_1Por-D_0NR間相互作用により励起四重項(Q_1)状態を形成することが解った。Q_1TRESRスペクトルを示す錯体では、りん光寿命が短く(<1/10)なったのに対し、T_1TRESRを示す錯体では、りん光が消光されなかった。これにより、TRESRスペクトルとりん光寿命は、良い相関を持つことが示された。 (2)過渡吸収 NR配位型Pcは溶液中の実験に適さないので、NRがケイ素に共有結合したケイ素Pcを新規に合成した。その結果、(1)NRが結合することで励起多重項の寿命が短くなること(〜1/100)、(2)励起二重項(D_1)とQ_1がエネルギー的に近接した錯体において、最も励起多重項の寿命が短くなること等を見出した。後者は、D_1-Q_1の混合で説明され、TRESRと過渡吸収の比較から得られた興味深い結果である。
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