研究課題/領域番号 |
10740318
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能・物性・材料
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 博彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (90262261)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 電子相関 / インターカレーション / 遷移金属酸化物 / 電気化学 / 磁性 / 熱起電力 / 電気伝導 / トンネル構造 |
研究概要 |
数多く存在するマンガン酸化物の中で、特にインターカレーション等の化学的修飾が可能な構造を持つ系に着目し、磁性や電子輸送現象に関する研究を行った。詳細は以下のとおりである。 (1)ホランダイト型構造を持つK_<1.5>Mn_8O_<16>、Rb_<1.5>Mn_8O_<16>およびそれらの混晶に関して磁化率や電気伝導度の測定を行い、それらの物性がカチオンのサイズの違いにより大きく影響されることを見出した。 (2)研究の過程において、新規物質BaMn_3O_6を発見した。単結晶構造解析により、この物質がMnO_6八面体が陵を共有して層を形成している部分と、ペロブスカイトに見られるような項点共有の部分から成り立っていることが明らかになった。組成からこの物質はマンガンの3価、4価の混合原子価状態にあると考えられ、電気伝導と磁性の共存系としての興味が持たれた。電気伝導度の測定の結果は残念ながら半導体的であったが今後、キャリアードーピング等により興味深い物性が出現する可能性がある。 (3)一連のポーラスマンガン酸化物の中で、最も基本的なルチル構造を持つβMnO_2の単結晶の合成に成功した。この物質は金属的な導電性を示し、少数の電子的キャリアーが起源になっていることを熱起電力やホール効果の測定により明らかにした。また、電気伝導は94K以下のらせん磁性の発生により大きく影響され、特に転移温度以下で磁気抵抗に異方性が出現することがわかった。この異方性は、らせん磁性特有の現象と考えられ、興味が持たれる。さらに、シンクロトロン放射光を用いたX線散乱の実験により、らせん磁性の磁気構造を精密に決定することに成功した。
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