研究概要 |
トンネル構造を持つマンガン酸化物であるHollandite、Birnessiteを白金板上に合成し(800℃焼結)、種々の大きさを持つアンモニウムイオンに対する膜電位応答(pH=4.5)を調べたところHollanditeは、アンモニウムイオンに比較的大きな電位応答をするにも関わらず(10^<-2>MでΔE=49.5mV)、メチル基が一つついただけのモノメチルアンモニウムイオンには全く(10^<-2>MでΔE=〜0mV)電位応答せず、リジッドなトンネル構造を持つマンガン酸化物は、ホストイオンの形態を厳格に区別し電位応答する事が確認された。無機固体膜で比較的重要となる製膜法の検討をした結果、合成したマンガン酸化物粉末をバインダーを含まないプレス法によるペレット膜形成(800℃焼結)で製膜した電極では、膜が多孔質性を持つため試料溶液と内部溶液が膜内に浸透し、測定回路として短絡してしまうために膜電位応答を測定することが不可能であった。テトラフェニルボレートをイオン交換体とする液膜型電極が,水溶性有機金属イオンであるトリメチルスズイオンに対し,10^<-6>M以下の低濃度から電位応答することがわかった。また、トリメチルスズイオンのテトラメチルアンモニウムイオンに対する電位応答選択性は10倍以上であり,電極界面でテトラフェニルボレートとトリメチルスズイオンの比較的強い相互作用が示唆された。このイオン選択性電極を用いて、トリメチルスズイオンと各種アニオンの水溶液中における錯形成定数を算出したところ、文献値とほぼ一致し、トリメチルスズイオンの簡便なスペシエーション法として用いることができることが示された。
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