研究概要 |
嗅覚レセプター遺伝子の進化学的特徴を明らかにするために、キイロショウジョウバエの5つの嗅覚レセプター遺伝子(2F.1,33B.1,33B.2,33B.3と46F.2)の相同遺伝子の塩基配列をキイロショウジョウバエ2系統と近縁4種(オナジショウジョウバエ、セイシェルショウジョウバエ、モーリシャスショウジョウバエ、ヤクバショウジョウバエ)から決定し、比較した。 種内種間変異は分子進化の中立説に合った特徴を示すことが明らかになった。系統学的解析により、それぞれの嗅覚レセプター遺伝子はキイロショウジョウバエとヤクバショウジョウバ工の種分(約 1000 万年前)よりはるかに前に分岐していることを示した。遺伝子間では膜貫通領域が比較的保存されているが、第3膜貫通領域に関しては相同遺伝子間では良く保存されているが、異なる遺伝子間ではアミノ酸の性質を変える置換が最も多く見られた。このような変異の分布は、昨年我々が調べたメダカの嗅覚レセプター遺伝子とは大きく異なるものであった。このことは脊椎動物と無脊椎動物の嗅覚レセプター遺伝子群は異なる進化過程を経て同じ機能を獲得した遺伝子であることを示唆していると考えられる。 以上の内容は日本遺伝学会大会および日本分子生物学会大会で発表した。
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