研究課題/領域番号 |
10740356
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生態
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
狩野 賢司 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (40293005)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 配偶者選択 / 性淘汰 / 性転換 / 性的二型 / 配偶システム / 行動生態学 / 進化生物学 / 魚類 / 進化 |
研究概要 |
配偶システム、子の保護様式、性差の程度などが異なる数種の魚類を対象にした調査により、以下のような結果が得られた。 (1)カザリキュウセン:雌から雄へと性転換する際に、体色が地味な雌体色から派手な雄体色に変化する前に雄の配偶行動を開始する発見を利用し、体の大きさ・体色の派手さが異なる個体の間で雌に配偶者選択実験をさせたところ、体色が同じ場合は体の大きな雄が好まれ、体色が異なる場合は体が小さくとも派手な雄体色を示す個体を選ぶ傾向がみられ、雌は複数の雄形質を利用して配偶者を選んでいること、選択指標となる形質の間には優先順位があることが示唆された。 (2)ハゼ科魚類:雄が巣を作り、卵を保護するウミタケハゼ・クモハゼの両種で、雄が求愛行動の際にのみ示す派手な婚姻色は、採取することのできる餌の質(藻類)など体のコンディションを示す可能性が示唆された。また、クモハゼでは雌は雄を体の大きさでは選んでおらず、他の形質が重要であること、さらに雌から雄だけではなく、雄から雌へという双方向の性転換をすることが確認された。 (3)グッピー:沖縄県産野生化個体群をもちいた実験により、雄だけにみられる赤・オレンジ色の斑紋の数や大きさは雄親から息子へと伴性遺伝していることが判明し、雌の配偶者選択に重要な形質であると推測できた。しかし、それらの斑紋の色の鮮やかさは遺伝にはよらず、餌の質など環境要因が重要であり、雌は雄の斑紋の数・大きさ・色の鮮やかさを指標にすることにより、雄の遺伝的な質の高さと摂餌による体のコンディションの双方を判断できることが示唆された。 なお、これらの結果の一部は平成11年11月に開催された日本動物行動学会で口頭発表を行い、現在論文を投稿準備中である。
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