研究課題/領域番号 |
10740389
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物生理・代謝
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
森下 文浩 広島大学, 理学部, 助手 (20210164)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | ペプチド / アメフラシ / 免疫染色 / セカンドメッセンジャー / 神経細胞 / Ca^<2+> / cAMP / IP_3 / ELISA / HPLC |
研究概要 |
NdWFamide(Asn-D-Trp-Phe-NH_2)は、軟体動物アメフラシ心臓から単離した心拍増強ペプチドである。本補助金の交付期間中にNdWFamideの作用機序と組織局在に関する研究を行い、以下の知見を得た。 1.NdWFamideの組織局在 (1)NdWFamideを特異的に認識する抗体を用いた免疫染色の結果、抗NdWFamide抗体陽性神経はすべての中枢神経筋と心臓血管系、消化管等の末梢組織に見られた、特に顕著であったのは腹部神経筋のR3-13と呼ばれる一群の神経細胞であった。この神経細胞群から延びる神経繊維は鰓神経を経て鰓・心臓領域に分布していた。NdWFamide含有神経繊維の分布とNdWFamideの作用からNdWFamideはR3-13神経の主要な伝達物質のひとつであることが示唆された。 (2)NdWFamide含有神経が中枢・末梢を問わず広く分布し、またNdWFamideが多くの組織で収縮増強作用を示したことからNdWFamideが神経伝達物質または神経ホルモンとしてアメフラシ体内における様々な情報伝達や生理機能の調節に関わることが示唆された。今後は、アメフラシの行動制御とNdWFamide含有神経との関わりを解析する必要がある。 2.NdWFamideの作用機序 (1)NdWFamideの強力な心拍動増強作用に関わる細胞内情報伝達機構を解明するため、セカンドメッセンジャー物質量に及ぼすNdWFamideの作用を検討した。その結果、NdWFamideはcAMP,cGMP量はいずれも変化させなかったが、IP_3量を増加させる傾向が見られた。また、verapamilで細胞外からのCa_<2+>流入を阻害した条件下でもNdWFamideが拍動増強作用を示したことから、NdWFamideは、IP_3の増大を介して細胞内Ca^<2+>ストアからのCa^<2+>遊離を引き起こし、心拍動を増強することが考えられた。 (2)NdWFamideのアミノ酸を一部置換したアナログペプチドの作用は、調べたすべてのアナログで活性の低下が見られた。このことから、NdWFamideとその受容体の結合はかなり特異的であると思われる。 (3)今回の情報伝達機構の解析からNdWFamide受容体とG蛋白質の共役の可能性が考えられるので、これらの知見を元に受容体の同定を進める必要がある。
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