研究概要 |
葉緑体DNAを用いた系統解析によると,ヨメナ属植物はシオン属(狭義:以下同様)植物の一部から派生的に進化した単系統群である.両者の核型はヨメナ属の染色体サイズがシオン属の染色体サイズの約半分であること以外はよく似ており,相似的である.このことは,シオン属からヨメナ属への進化の過程で染色体サイズの減少がおこったことを示している.サイズの減少が実際にDNAの減少にともなったものであるか,またそのDNAの消失はどのような部位で起きているのかを明らかにするため,シオン属とヨメナ属のDNA量の測定および双方向にin situ hybridizationを試みた. シオン属の2倍体シロヨメナ,イナカギク,ヨメナ属の2倍体ユウガギクそれぞれについて,フローサイトメトリーによるDNA量の測定を行った.シロヨメナ,イナカギクはほぼ同じサイズのDNAを持ち,ユウガギクではそれより小さいことがわかった.しかしその差は核型解析から推測されるよりも小さく,さらに検討が必要である.これまでに5s-rDNAをプローブとしてin situ hybridizationを双方におこなったが,シオン属もヨメナ属も2個所のほぼ相同な位置が標識された.しかしそれぞれの標識強度の測定はまだ成功しておらず,両者の間で5s-rDNAの繰り返し配列数が減少したのかどうかは不明である. 平成11年秋にシロヨメナ2倍体とユウガギク2倍体の交配実験を行った.得られた種子は平成12年に播種し細胞学的観察に用いる予定である.
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