研究課題/領域番号 |
10740402
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
系統・分類
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研究機関 | 千葉県立中央博物館 |
研究代表者 |
奥野 淳兒 (奧野 淳兒) 千葉県立中央博物館, その他部局等・分館・海の博物館, 研究員 (60280749)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 甲殻綱 / エビ目 / コエビ下目 / 分類 / 共生 / 宿主選択 / 甲殻網 / 隠蔽種 |
研究概要 |
甲殻綱エビ目コエビ下目のうち、他の海産生物と共生関係を持つ種について、分類と宿主選択に関する研究を行った。エビの形態や色彩、宿主との生活の様子から、共生パターンを1)隠れ込み、2)擬態、3)清掃に分けて考えた。 刺胞動物門花中綱のナシジイソギンチャクに擬態するテナガエビ科カクレエビ亜科の1種を新属新種とみなし、Izucaris masudaiとして記載した。また、伊豆諸島八丈島の海底洞窟より採集した雄1固体に基づいて、同亜科ムカシカクレエビ属のPalaemonella hachijoを記載した。本論文印刷中に、本種の追加標本を2個体得たが、いずれも他の生物との共生が確認されなかったため、本種はカクレエビ亜科としては珍しく、自由生活をする種であると結論づけた。 魚類と清掃の関係にある、同科テナガエビ亜科のソリハシコモンエビ属エビ類の標本を多数採集して比較した結果、従来Urocaridella antonbruuniiとして扱われていた種の中には、少なくとも5種が含まれていた。これらは、形態が極めて類似しており、また共生する魚類の科レベルでの選択にも差異が見いだせなかった。しかし、明らかな色彩の違いが認められたため、隠蔽種の関係にあるものとみなし、Urocaridella antonbruunii complexの分類学的再検討として論文を執筆中である。また、擬態のパターンに区分した共生性コエビ類のうち、以下の新知見を得ることができた。伊豆半島産の標本に基づいて、モエビ科トガリモエビ属テングモエビTozeuma armatumが刺胞動物門花中綱のシロアザミヤギに擬態すること、およびテナガエビ科カクレエビ亜科ホンカクレエビ属のPericlimenes rectirostrisが棘皮動物門ウニ綱のヒラタガゼの棘に擬態することが明らかになった。これらは、従来宿主が確認されていなかった種であることから、宿主の新記録を報告する予定である。伊豆諸島の八丈島において、棘皮動物門ウニ綱のシラヒゲウニから、日本沿岸では初記録となるヨコシマエビ科のGnathophylloides mineriを採集した。本種は従来、シラヒゲウニを含むラッパウニ科ウニ類との共生が知られていたが、南日本でも同様の宿主選択を示すことが明らかになった。
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