研究概要 |
本研究の目的は,アンチサーファクタントを用いて形成したAlGaN表面上のGaN量子ドットの成長メカニズムを明らかにすることを主とし,それをもとにしたドットの形態,密度等の制御およびそれらの光学物性の検討をおこなうことであった。以下,具体的な課題および研究実績の概要を示す。 1)Siの果たす役割 : SiのAlGaN表面上の吸着サイトの検討(安定構造の計算),GaNステップフロー阻害の定量的な検証,表面エネルギーに及ぼす影響など。 : Siの吸着サイトに関して第一原理的計算により,AlGaN表面上のカチオンサイトにおいてSi-N結合が安定に存在できる可能性を得た。また,実験的にSi供給量をパラメータにすることにより,GaN量子構造が制御できることを示した。これはステップフローの阻害および表面エネルギー変調によるものであると推定された。分数次元を有する新しい量子構造体を提案した。 2)(テラス上での)GaN量子ドットの核生成モデルの検討 : 速度論的,エネルギー的考察から。 : 速度論的なモデリングからSi-Nの生成によりそれがマスクとして機能して,表面マイグレーションポテンシャルの変調が生じ,ポテンシャルの低い部分にGaN量子ドットが形成されることを示した。 3)GaN量子ドットの配置制御 : SiCの表面構造(すなわち規則的なステップ構造)がHCIガスによる処理で制御できることを見いだした。それによってAlGaN表面のステップ構造が制御でき,GaN量子ドットの位置制御が可能になると思われる。
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